お嬢様は恋をしません。
「はい…」



「なんだ?不安か?」




不安というか、正直明日から生きていける気がしないというかもう。




すると、西条が風呂から出てきたのかネグリジェに身を包み、髪の毛を拭きながら歩いてきた。




「シュウ、どきなさい」



「へいよ」



「…タバコはやめなって言ってるでしょ」



「…あぁ、悪りぃな」




そう言って、立ち上がったシュウさんの胸ポケットからタバコの箱を取り出してゴミ箱に捨てる。



この感じは常習犯なんですね。




そのやりとりを見ていると、仲が良くていいなぁと、思う。




「奏多。明日買い物行くわよ。あなたの服を揃えに」



「え…でも」




お金がないんですけど…。



どうしろと…。




「お金は私が出すわ。気にすることはない。



利子つけて返せ、なんて言わないから」




西条はそれだけ言うと机の上にあった春休みの課題プリントを見つめた。




「…だる」
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