お嬢様は恋をしません。
湊音は残念そうにブーブーとぼやく。



「お前ら仲良しかよ」



シュウさんは俺たちに突っ込む。



いやもう仲良しっていうかさ。



その…。




「俺らいとこなんですよ。いとこだって知ったのは中学入ってからですけど」




湊音はそういう。




そう。俺たちはいとこ。



だから、湊音の母親が亡くなった時に、どこぞの金持ちに拾われたっていうのも知ってた。



それがどこの家かは知らなかった。




まさか、西条の家だったとは…。




…同い年のいとこが上司の職場ですか。



まぁ、逆に気兼ねなく話せる同僚だと思えば…。




「奏多」




突然、ご機嫌斜めな女王様が凛とした声を発する。




「その頭。昔から思ってたけど何」



「ん?染めた。



結構気に入ってるんだけど」



「…染め直し。黒。それ以外は却下。始業式までに染め直しておいて」
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