お嬢様は恋をしません。
5
「…奏多。…移動」



「ふぇ…?」




目を覚ますとそこは学校で、俺は机に突っ伏して寝ていたようだった。




現代文の先生の喋り方、眠くなるんだもん…。




前を見ると、時雨が体操着を持って突っ立っていた。




「次…体育?」



「…あぁ、体育館でバレーだってよ」



「お、まじ?」




これは腕がなるねぇ。



元バレー部として気合いを入れなければ…。




「…張り切ってるな」




体操服を持って勢いよく立ち上がった俺を引いた目で見る時雨。




「…お前、ほんとすごいわ」



「へ?なんで?」



「…よく、空手しながらバレーなんかしてたよな」




歩きながら、呆れたように話す時雨。



まぁ、いつもこんな感じの時雨だからそんなに気にはならないけど。




「バレー好きなんだよ。スポーツ全般好きだけどねー」



そう言いながら俺はルンルン歩く。




「…お前、なんでもできるもんな」
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