お嬢様は恋をしません。
莉緒まで拗ねたようにそう言う。




水野さんは目をそらしている。




そして、ポツリと呟いた。




「だってかっこいいんだもん…」



「〜っ、…奏多、行くぞ」



そう言って時雨はスタスタと歩く。




俺もそれについていく。




「なーに?テレてるの?」



「…うるさい。…もう試合だろ」





顔を真っ赤にして、袖をまくる。



それを見て俺は笑いながら同じように袖をまくった。




「久しぶりだね、バレーとか」



「…そうだな。…トスあげるから」



「おっけー、俺頑張るー」




そう言って俺はコートに入った。
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