お嬢様は恋をしません。
ということは。




太るということです。




体育でしか運動しない私が体育をやめてしまったら、もう無理。



156しかない身長で体重50キロ乗ったらどうすればいいの?



このままいったら絶対乗るじゃない…。



あーもーどうしよ、ほんとに。



お嬢様といえど、食生活全部を管理してもらっているにしても。



太るものは太る。



仕方ない。




それをどうにか抑えたい。




私はフェンスにもたれてグラウンドを見下ろした。




…奏多、あんなに強いアタック打てるのに。



私に怪我をさせるぐらい強いアタックを打てるのに、どうして推薦蹴ったわけ?



もったいない。



高校に入ってからは空手も辞めてるみたいだし。



何をしてるんだか。



風に舞う髪を耳にかけると、振り返る。




帰ろう。湊音が心配する。




そう思って歩き出そうとした時。




ガンッッ




「え…?」



「り、莉緒?」
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