お嬢様は恋をしません。
「ここにはきてないみたいだな…」




屋上に入ってきた男たちが話す。



そして、数人の男たちはどこかへいってしまう。





「はぁ…」





奏多はため息をついて、私からずっと離れた。




「ごめん、ちょっと追いかけられてて」



「だ、大丈夫…」



「顔、赤いけど…」





奏多は私の頬に手を当てる。



こ、これだからタラシは…。



私は奏多と目を合わせていられなくなってしまって、目線が逸れる。




「ふふっ、莉緒って案外免疫ないんだね」




そういって笑うと、手を下ろした。



なんか、腹立つ。



雇われてる身でなかなかなことするじゃない。




私がむすっとしていると奏多は私の顔を覗き込んだ。




「強引なことしたの、怒ってる?」



「…別に」



「ごめんね、ほんとに。バレると厄介だったから」



「…なんで追いかけられてるわけ?」
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