お嬢様は恋をしません。
奏多は私の指を絡め取って、さらっと包み込んでしまう。




「へっ…?奏多?どうしたの…?」




ああもう、私。




免疫なさすぎて、またドキドキしちゃってる。



ダメじゃない…。




「んー?…もしかして莉緒、気づいてなかったりする?」




「…何が?」




そう言うと、奏多は驚いたような顔をして、こっちを向いた。




目が合う。




「莉緒、最近スマホにメール来たりしない?変な人から」




「ないけど…それがどうしたの?」




首をかしげると、奏多は悩む素振りをして、呟いた。




「…じゃあ、手紙だけか」



「へ…?手紙?」



「んー…、ねぇ莉緒」



「…な、何?」



「こっち向いて?」




奏多は立ち止まって私に体を向けた。




不思議に思いながらも奏多の方を向く。




「動かないでね?」




奏多はそう言った後、袖から指先だけが顔を出している手を私の頬をあてがうと、顔を近づけた。
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