お嬢様は恋をしません。
少し言葉に棘が生えてきた俺ですが、一応体育祭の一発目の競技で。



クラスのためにも出鼻をくじくわけには行かない。




せめて2位にのめり込む。




全体の1位はタイムで決まるから、まぁ無理っちゃ無理だろう。



だって陸上部に勝てると思う?




ちらりと、莉緒の方に目を向ける。




すると、莉緒も俺の方を向いていたのか目があった。




笑顔を向けられる。




莉緒は口パクで「頑張って」とそんな感じのことを言った気がした。




あぁ、あれは。



あれは、完璧に落ちちゃうやつだ。







俺の人生がかかってさえ、いなかったら、ね?





応援されたからには陸上部なんて抜く勢いで頑張るに決まってる。




実際の陸上のレベルは知らないけど、俺だってやるときはやる。




放送部のアナウンスが入る。



俺の順番が来た。



まっすぐ走るだけ。まっすぐ、ただまっすぐ。



全力疾走すれば、いい子の莉緒に褒めてもらえる…きっと。
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