お嬢様は恋をしません。
そんなことを思いながら、レーンに立つ。




体育委員の掛け声と、その後のピストルの合図。




俺は、これで勝ち負けが決まるんじゃないかってレベルで全力疾走をした。








100メートルって言うものは短いもので、気づいたら勝負は終わっていた。



ゴールテープに触れた感覚は残っている。



ただ、それが一位だったから触れたのか、他の誰かと僅差だったから触れたのかは、わからなかった。




グラウンドもざわつく。




第一競技から、こんなにも白熱した戦いを繰り広げても、よかったのだろうか。





『ただいまのレースの結果を発表します。




1位、2年3組高嶋奏多。



2位────』





こんな白熱した戦いを初っ端にしてしまって、その上運動部でもなんでもない俺が、陸上部より先に一位を飾ってしまってよかったのでしょうか。




誰か、答えをください。





最終的には俺は全体で1位だった。
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