お嬢様は恋をしません。
陸上部や、サッカー部からスカウトがたくさん来たけど、全部断っておいた。



テントに戻って、莉緒の隣に座る。




「奏多、お疲れ様。なかなか、かっこよかったよ」





笑って俺を労ってくれる莉緒に少し胸が弾んだが、気づかないふりをして、笑いかえして莉緒の隣に座った。





「ありがと。俺もう競技ないから、ずっとここにいていい?」




「うん。夏織も湊音もたくさん競技駆り出されててあんまりいてくれないから」




そういうと、莉緒は砂いじりを始めた。



どこから出したかわからない木の棒を手に持って、地面に絵を描いていく。




…うぅん。




なんとも独創的な絵をお描きになるようで…。





「莉緒、これ何?」



「キリン」




「…これは?」




「ペンギン」




「…そっか」





俺にはわかんないなぁ…。




きっと水野さんには伝わるんだろうね、あれだけ仲いいんだもん。
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