お嬢様は恋をしません。
「1日中学校開いてるなんて、面倒だね」



「んー、そーでもないよ?どうせ俺暇だし。



莉緒といれるし」




何気なーくそう言うと、莉緒の手が止まった。




「…そう言うの、あんまり軽く言わないほうがいいよ。



後で痛い目見るから」





莉緒はポツリと、確かにそういった。





「ん?莉緒?」




「…んーん、なんでもなーい」





いつもの明るい声に戻った莉緒は、心なしか顔が赤いし、手が、震えているようだった。




「莉緒?大丈夫?」




莉緒は木の棒を地面についたまま、動きを止めた。




「…ちょっとだけ、放っておいて。黙ってそこにいて?」




莉緒は足に顔を埋めると動かなくなった。



莉緒の指示に従って黙って莉緒を見つめる。



何が、そんなに悩ましいんだろう。



わかんないけど、莉緒には何かあるんだろう、ね。



じゃなきゃ手なんか震えないだろうし。
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