お嬢様は恋をしません。
「昔から、そうだよね。あざとい…って言うかさ。





なんて言うんだろう。




手に入れたいものは、いつも向こうから寄ってくるように仕向けるって言うか。




付き合ってた時は可愛いなぁって思ってたけど。




今はそうでもないな」





「奏多?」




「自分から俺のこと捨てといて、戻ってくるとか、思っちゃダメだよ」





それだけ言うと、俺は千円札を置いて喫茶店を出た。




きっと、志帆は別に話がしたいわけじゃなかった。




付き合ってた時もそうだけど、俺と話すときなんか何か物が欲しいときぐらいしかなかったから。




多分、今回もそうなんだろうなって、予想はついてしまった。





志帆はすぐさま追いかけてきた。





「ま、待って。まだ話が…」




「何?手短にしてね?」




「その…私、奏多のこと…まだ好きなの」





俺の腕にしがみつく志帆に言う。
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