お嬢様は恋をしません。

「その言葉聞き飽きたよ。



何回言っても治らない浮気ぐせはもう治んないよ」





「か、なた…？」





「いや、俺も性格悪いから、また遊ばれてあげてもいいかなって、思ってたんだけど。それくらい好きだったし。




やっぱやめとくね。俺もう志帆への気持ちはないんだよ」





そう言って、志帆の手を腕から引き剥がす。





「なんで…」




「いつでも、思い通りになると思っちゃダメだよ？」




「でも、別れた時は寂しそうにしてくれてたのに…っ」




「昔でしょ？今は違うんだよ」




「どうして…好きな人でも、出来たの？」




「…そうなのかも、しれないね。




多分、好きなんだと思う」





そう言うと、志帆は脱力したように手の力を抜いた。



歩き出しても、志帆は追いかけてこなかった。





あぁもう…。




気づいちゃったじゃん…。




だって、あの頃と同じだもん。