お嬢様は恋をしません。
「俺と出会った時は、こんなに近くにいても、ずーっとその澄ました顔だったのに、



前からいた颯太の近くにいる時も、最近きた奏多の近くにいる時もずーっと顔赤いよ?」






「だから、違うって…言ってるじゃない…」






どんどん小さくなっていく、私の声はそれを認めているようで。




私は湊音を押し返して自分の部屋に走り出した。






「颯太はいつも、莉緒の幸せだけを願ってたよ」





そんな、湊音の声を背にして。私はずーっと走り続けた。
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