お嬢様は恋をしません。
* * *



「莉緒っ、修学旅行!同じ班になろう!」




「うん、じゃあ私と夏織。あと3人、どうする?」





時期は修学旅行。




そんなことも、今は全く楽しめないでいる。





奏多が居なくなったことで、心に二つ目の穴が空いたというか、穴が大きく広がったというか。





奏多が来る前と同じになっただけなのに…何かが、違う。






「湊音くんは誘うでしょ?あとはー…」




「俺のこと誘ってくれるの?じゃああと2人も女の子がいいなぁ。できればフリーの」





おちゃらけたようにそう言うと湊音は3日前のあの夜の面影は一切ない。




今思えば少し、寂しそうな顔にも見えた気がする。





「えー、男の子2人は必要なんだよー?



もう1人、居ないの?」





私は気づかれないように、その場を離れた。




どうしても、盛り上がれなくて、ただ苦しくなって。
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