竜の姫君
第1章
 ぱかぱかぱか。
「うーん、気持ちいい」
 馬上であたしは声をあげた。
 日差しはぽかぽか。
 緑はきらきら。
 愛馬もご機嫌。
 あたしもご機嫌。
 春って、いいなあ。
「ピピッ、ピピピュウ」
 なんだ?
 なんか変な声が。
「うわー」
 足元に(馬の)なんか変なものがいる。
 もう少しで踏み潰すとこだった。
 動いてる。
 って言うか、うごめいている。
 なんかちょっとキモッ。
 馬から降りて、その物体をつつく。
 もちろん素手じゃない。
 ナイフの先で。
 ちょんちょんと。
 表面がぶつぶつ。
 鳥肌っぽい?
 目らしきものが、まぶたから透けて見える。
 でも、羽は。
 こりゃ、こうもりぽい?
 鳥のヒナ?
 にしては変すぎ。


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