竜の姫君
 ふわふわきらきらの髪。
 澄み切った青い瞳。
 愛らしい顔立ち。
 これがまあ仮の姿とはいえ、可愛いことは可愛いからなあ。
 可愛い名前がいいんだろうな。
 まあ、どうせ短い間だろうし。仮称と言うことで。
「エイシェル、短くしてエル、それでいいだろ?」
 そう言ったとたんだった。
 風が吹き抜けた。
 強い、強烈な風が。
 髪が巻き上げられる。
 マントがたなびく。
 窓辺のカーテンが風をはらんで広がる。
 がしゃん。
 花を生けた花瓶が落ちる。
 目も開けていられないような風。
 一瞬のことだった。
「なに?」

 

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