竜の姫君
第3章
「たのもー」
「ここは道場じゃない。何回言ったらわかる」
 あはは。
 店の主人の突っ込みはもっとも。
 だけど、ここに来るとさ、どうも道場破りみたいな台詞が出てしまう。
 だって、ここの主人ときたら、スキンヘッドの上に筋肉ムキムキでガタイもでかい。
 どうひいき目に見たって魔法使いというより、いっぱしの闘士。
 おまけに店内に飾ってあるものときたら、魔法のアイテムかもしれないけれど、妙に頑丈そうな剣や盾。魔法よろず一般を取り扱う魔法屋にはみえないって。
「笑ってごまかすな。おい、お前いつの間に……」
「違うって」
 あたしは慌てて主人の言葉をさえぎる。もう、今日は何回いわれたかしれないんだからその手の台詞は。
 いわく、「いつ産んだ」やら「隠し子?」とか。
「森の中で拾った。ほんとの親を探して欲しいと思ってさ。あんたならわかるだろ、これが何者なのか」
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