最初で最後の愛してる。

「え…」
心臓がドクッと変な音を立てた。
そう珍しい苗字じゃないし、私の近所の子達はここにバイトに来ないし
大丈夫…だよね。

そう思っていた。

そして、
「おはようございます。
今日からお世話になります。幸田守矢です。
よろしくおねがいしま…す」

挨拶の途中で目があってしまった私たち。
カレは私に気づき動揺したように思ったのも一瞬で
すぐに店長の指示を仰いでいた。

私はというと、気が気ではなかった。
カレだ。私が忘れたくても忘れられなかった。
「もり…」
久しぶりに彼と付き合っていたころに呼んでいたあだ名を
口に出してしまうと更に心臓が音を立てる。

神様はどうしてこんなに意地悪なんだろう。
どうして私たちをこんな風にまた会わせてしまうんだろう。
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