白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「ドレス、濡れてない?」
「え、あ、はい」
「良く似合うドレスだね」
重ねてしまった視線が逸らせない。
「あの、私・・・本当に申し訳ありません」
「うん。気をつけた方がいい」
「はい。仰る通りです」
頭を下げてから、もう一度その顔を見ると、清涼感のある目元が緩く細められる。
「じゃあ、お詫びにチョコでも貰おうかな」
「え?」
「バレンタイン」
男の言葉に頭が動き出す。
「あの、はい。もちろんです。今は用意がないので、後日お詫びに伺います。もし好みとかあれば教えていただければ・・・」
「うん。今、くれない?」
「へ?」
首を傾げた私の顎先を、男が流れるような動作で掴む。
それから、少し薄く、だけど形のいい唇を開いた。
「君に出会えた今日の俺はラッキーだ」
心臓が、静かに音を立てる。
どうしよう。
「あの、」