白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
本当に最悪。泣いてやりたい。
椿社長はやっぱりずるくて、悪魔みたいだ。
「……終わったら、すぐに行きます」
だけどそれを拒めない私は、もっと最低な人間かもしれない。椿社長には、ちゃんと決まった相手がいるのに。
夕方、私はまたその部屋に居た。
静かなキッチンで夕食の支度をしていると、伸びてきた手が私に触れる。
「寝ていて下さい」
振り返りその顔を見ると、珍しく髪に寝癖がついている。
なんだかいつもより幼く見える。
「顔、浮腫んでるな」
じっと私を見下ろした椿王子が、そう言って指先で頬を撫でる。
「寝不足なので」
「昨日、出かけたのか?」
「……仕事終わりに、ちょっと」
「男?」
熱があるくせに、鋭い瞳が私を映す。
「男、です」
「……寝不足になるまで、そいつと居たんだ」
「椿社長には関係ないです」