白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「これって、運命かな?」

「え?」

通りかかったボーイが持つトレーの上から、男は一粒のチョコレートを摘む。

「チョコ、食べる?」

何を言っているのだろうかと、考えた時には遅かった。

「待っ・・・ンンッ!?」

唇を割って強引に入れられたチョコレートの甘さが、口内に広がっていく。

「・・・可愛い」

「な、何するんですか!?」

「美味しい?」

「え?」

「チョコ、美味しかった?」

「・・・それは、はい。美味しいですけど、そうじゃなくて」

「名前は?」

「は?」

「人の服汚したんだから、名前くらい言うのが礼儀じゃない?」

たぶん私は、とんでもない男に目を付けられた。

「・・・家崎です」

「何ちゃん?」

「芙美、です」
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