白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「椿社長」
「……」
反応の無い綺麗な顔を見つめながら、額に触れる。
熱もさっきより下がったかも。
「椿社長、起きられますか?」
「ん、」
その身体を静かに揺すると、瞼が微かに動いた。
「私、そろそろ帰らないと」
「……」
「だから一度、起きてください」
ちゃんとここに居るって約束したから、勝手には帰れない。
だからと言って、勝手に泊まるわけにもいかない。
そんなことを考えていた私の腕が、突然強く引かれた。
「へ?」
「何、帰ろうとしてるの?」
さっきまで眠っていたのに、はっきり開かれた瞼の奥には、あの綺麗な瞳が私を映して、それだけで身体が熱くなる。
「あの、でも……」
「ムカつく」
「え、わっ!?」
強引に引かれた身体が、ベッドの上の男の身体に倒れこむ。
「な、なにするんですか!?」
急いで起き上がろうとすると、今度は髪を引っ張られて、直後唇が重なった。