白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
椿社長の言葉が、いつもよりも乱暴だったから?
いつもよりもその手が強引だったから?
私を映す瞳が、不機嫌そうに見えたから?
「どうして急に、そんなこと言うんですか?」
欲しい答えがあった。
私を落とす、答えが欲しい。
だけど椿王子は視線を逸らして口を開いた。
「てか、昨日の男と寝て、俺とは寝ない理由ってなに?」
現実はそうそう甘くない。
「どういう意味ですか?」
「そのままだけど?」
「……え、それって」
「好きでもない男と寝るってどんな気分?」
真っ暗になった。
熱が一気に冷めた。
「私は別に、」
そんなこと一言も言ってないのに。
確かに流されようと思ったけど、でもちゃんと帰って来て、こうやって椿社長に会いに来て……。
「芙美がどうやって抱かれるのか、俺にも教えてよ」
「椿社長、」
こんな時くらい、流れてよ、涙。
「目的もなく、俺が芙美に優しくすると思った?」
綺麗な顔が、悪魔のように微笑む。