白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

椿社長の言葉が、いつもよりも乱暴だったから?
いつもよりもその手が強引だったから?
私を映す瞳が、不機嫌そうに見えたから?

「どうして急に、そんなこと言うんですか?」

欲しい答えがあった。
私を落とす、答えが欲しい。
だけど椿王子は視線を逸らして口を開いた。

「てか、昨日の男と寝て、俺とは寝ない理由ってなに?」

現実はそうそう甘くない。

「どういう意味ですか?」

「そのままだけど?」

「……え、それって」

「好きでもない男と寝るってどんな気分?」

真っ暗になった。
熱が一気に冷めた。

「私は別に、」

そんなこと一言も言ってないのに。
確かに流されようと思ったけど、でもちゃんと帰って来て、こうやって椿社長に会いに来て……。

「芙美がどうやって抱かれるのか、俺にも教えてよ」

「椿社長、」

こんな時くらい、流れてよ、涙。

「目的もなく、俺が芙美に優しくすると思った?」

綺麗な顔が、悪魔のように微笑む。
< 112 / 186 >

この作品をシェア

pagetop