白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「彼女が可哀想です!!」
「……彼女?」
「気づいてないと思っていましたか?それとも、私なんてどうでもいいから隠すつもりもなかったですか?優しくされたらすぐに流されてセックスする馬鹿な女だから、簡単に騙せると思いましたか?」
「お前、何言って、」
「全部あなたの計画通り、騙されましたよ!あなたに優しくされて、すっかり夢中でした!自分が馬鹿で惨めで仕方ないです!もう……二度と会いたくないです!!」
「だから、さっきから何勝手に、」
「帰ります!」
「芙美、待てって、」
ベッドから降りた私を引き止めようとした椿社長の身体が、またふらついて崩れそうになる。
「あ、」
その姿に、伸ばそうとした手を急いで引っ込めた。
だってもう、この手を掴んだらダメだ。
「ごめんなさい。看病は、彼女にお願いしてください」
「だから彼女って、」
「大丈夫です!もう何も言わないでください」
これ以上、酷い真実を知りたくないから。
「さようなら」
せめて忘れられるうちに、終わらせたい。
「芙美!」
苦しそうな掠れた声に、立ち止まりそうになりながらも、私は椿王子の部屋を後にした。
私は私が思っていた以上に、椿社長が好きだった。
叶わないとわかっていても、好きだった。