白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「人の話聞いてる?」
「はい。だから話題変えました」
大して興味がないのだろう「家崎さん、話す気ないみたいなんで」と続けた野瀬京平が、携帯を触り始める。
「私に取り入るつもりないでしょう?」
「そう見えますか?」
「とっても」
「まあ、似た者同士ですからね」
「は?」
「僕と家崎さん」
携帯を見ていた顔を上げた野瀬京平が、真っ直ぐに私を見てから、再び中華丼を食べ始める。
「え、すっごく迷惑」
「そうですか?僕は前から思っていましたよ。家崎さんと似ているって。あ、見た目じゃないですよ?」
「見た目どころか、私にはあんたと似ているところなんて、ひとつも思い浮かばないけど?」
顔を顰めた私の言葉に、男が生意気に笑みを見せる。
「仕事頼まれると、手一杯なのに引き受けちゃうところとか、やるからには完璧にしたいからプライベート削るくらい無茶するところとか、必死で相手の機嫌取れるように演じちゃうところとか……」
「何それ。仕事人間ってこと?」
「まあ、一言で言えば。それと、好きな相手に呆れるくらい尽くしてしまうところとか」