白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「そうなの!今ね、たまたま一階に下りていたら、偶然芙美ちゃんのお客様に会ってね、」
「私のお客様?」
そんな予定、入れた記憶ないけど。
「もう私は吃驚だよ!」
「え、どういうこと?」
「二人が知り合いなんて聞いてないもん!ちょっとショック!」
「里香、さっきからなんの話を、」
「だから王子様のことよ!」
「……王子様?」
明らかにテンションの高い里香の言葉に、私は本気で困惑した。
この子ついに頭おかしくなったの?
「急に声掛けられて、誰かと思ったら王子様で、しかも!芙美ちゃんに会いに来たって言うから驚いちゃって」
「待って、里香。本当に話が見えない。さっきから王子様、王子様ってあんた誰の、こ、と……え!?」
こんな展開を誰が予想しただろう。
もちろん私はこれっぽっちもしていなくて、だから言葉にしながら段々と繋がってきたそれに、職場であることを忘れて変な声が出た。だってまさか、信じられない。
「も、もしかして、王子様って椿王子のこと?」
「さっきからそう言っているでしょう?王子様って」