白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

つまり、椿社長が会社に来ているってこと!?
今この瞬間、受付に来て、私を呼んでいるって……

「なんで!?」

「え、だから芙美ちゃんに会いにだよ?今からご案内してもいい?」

「ご案内!?」

「だって、ここで待たせるのも失礼でしょう?社長さんなんだから」

それはそうかもしれないけど、そんなの私が困る。
だって心の準備もあるし、だいたい何をしに来たの?
会って何を言われるの?

「ダメ!」

「え?」

「絶対にダメ!今すぐ帰ってもらって!」

「え?え?芙美ちゃん??」

「お願い、里香!一生のお願い!」

「そんなに!?えーっと、どうしようって、わ!」

「里香?何?」

途切れた会話に、不安になりながら声を掛ける。
油断した。

「俺だ」

受話器越しに届いた声に、耳が熱くなった。
きっと息を飲んだ音も聞こえただろう。

「あ、あの……」
< 125 / 186 >

この作品をシェア

pagetop