白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

2.椿王子という男

2.椿王子という男

椿王子。
彼自身が、ここ数年で急成長している企業の社長であるだけでなく、日本を代表する世界的建築家椿帝二を父に持ち、伯父は旧財閥の一つである椿グループの現社長、祖父は会長という、誰もが認める超スーパー華麗なる一族の一人だ。
首都圏を中心に、結婚式場やイベント会場を運営する彼の会社は、海外ウエディングを彷彿させるお洒落な空間や、行き届いたサービスが人気を集めていて、芸能人が実際に結婚式を挙げたり、高級ブランドがパーティーを開いたりして度々話題になっている。
それでいて、社長はあのルックスだ。
20代で自分の会社を立ち上げ成功させているだけでも注目されるのに、完璧な経歴と類まれな容姿を持ち合わせているのだから、世間が放っておくわけもないく、最近ではビジネス雑誌だけでなくファッション誌からもインタビューの依頼が殺到しているとかなんとか・・・。

とにかく噂には何度も聞いていた男なのに、どうして昨夜の私は気づけなかったのだろう。あんなに特徴的な名前なのに。
酔っていたせいかもしれない。それにあまりに突然のことだったし、なんて言うか・・・非現実的だった。
椿王子なんて大それた名前に臆する必要もないくらいに完璧な男。顔もスタイルも声も仕草も、どこを切り取っても完璧で、悔しいけれど、その名前が相応しいとすら思えた。
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