白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「俺だって芙美に触りたくて仕方ないと思っている男の一人だ。でもそれを簡単にやったら、お前また後悔するだけだろ?だから芙美が自分の気持ちを認められるまでは待つ覚悟で一緒に居た。甘やかして大切にして、ちゃんと俺の方を見てもらいたいって……結構わかりやすく伝えていたつもりだけど、まだ足りない?」

愛しいって顔で笑う椿王子の言葉に、これまでのことが身体中を巡る。つまり私はこの男に、ずっと大切にされていて、ダメな自分ばかり見られて、それでも椿王子は私のことを……。

「ちょっと待ってください!」

「ん?」

「そんなこと言っても、私は椿社長の一番にはなれませんよね?甘やかして大切にしてくれていても、椿社長には私以上に大切な方がいるじゃないですか。だったら私の立場ってなんですか?まさか、あ、愛人になれとか?」

思い出した大切なことに、その手から距離を取ると、椿王子が困ったような笑みを零す。

「どうして椿社長がそんな顔するんですか?」

「だって、お前」

「本命の彼女がいるくせに、期待させるようなことばかり言わないでください。あなたにとっての私って何?」

「俺はこの一ヶ月、お前の男のつもりだったけど?」

「お前の男って、意味がわからな……え?」
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