白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「それで、家崎芙美は俺の女だと思ってる」
飛び出した言葉に、瞬きを繰り返した。
だって、意味がわからない。
「そう思っていない相手を部屋に入れないし、ましてや泊めないだろ」
「でも、だって、椿社長には彼女が」
もう今更隠されたって知っているのだから。
自分だって、昼間の電話でそうやって……。
「だから俺がいつ、彼女がいるって言った?」
「いつって、それは」
「お前、何でもかんでも自分の頭の中で答えだすの止めろ。たいてい間違ってる」
間違っているって、私が?
「でも!電話でも姫子って!」
「姫子が彼女って俺は言ったか?」
それは確かに、言われてない気がするけど。
「だって写真が部屋に飾ってあったし、私、街で二人が腕組んでいるところも見たんです!それに!姫子が今朝まで居たって……椿社長が言ったんです」
そういう一つ一つに、自分でも驚くほど傷ついて悲しくなって、好きだって自覚させられた。
好きな人にとっても二番目になんて、なりたくない。
どうすれば椿社長は、私だけを見てくれるのだろう。
真っ直ぐに見つめた先で、その綺麗な顔が突然、幸せそうに吹き出して笑った。