白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

二人揃ってパーティーを抜け出してから、彼の部屋の大きなベッドに倒れ込むまで、ほんの数秒に思えるほどに夢中だった。

「芙美は本当に爪先から髪の一本一本まで綺麗だな」

「なんですかそれ!?」

指先を絡めながらそんなことを言われた私は、恥ずかしくて手を引っ込めた。

「いや、身体の隅々まで見た感想」

「……バ、バカみたい」

「そうかも」

「へ?」

布団の中に隠した私の手をまた掴んだ椿社長が、隣で寝転ぶ私をじっと見つめる。

「芙美に毒されて、バカになったのかも」

「どういう意味ですか?」

まだどこかで揶揄われている気がしてしまう。
だってこんなにも完璧な人が私を選ぶなんて。

「お前しか可愛く思えないし、お前にしか興奮しないって意味だよ?」

「それはさすがに大袈裟です」

「でもだから困る」

「困る?」

「芙美が綺麗過ぎるせいで、男が無駄に寄りつく」
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