白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「つまりそれって、俺のことだろ?」
「え?」
「芙美の“白馬の王子様”」
「……っ」
ほら、もう。困っているのは私の方だ。
こんな男に愛されてしまったら、きっとこの先で誰に出逢っても恋をできない。愛せない。
「あの、私はそういうつもりで話したわけじゃなくて」
「むしろ俺以外にいないと思うけど」
「……椿社長はずるい」
「お互い様だろ?」
顔を見られなくなってベッドの中に潜り込もうとするけれど、すぐにその手が追ってくる。許されない。
「こっち見れば?」
「無理です」
「キスが出来ない」
「……」
「芙美」
この手に愛されないことを、許されないだろう。
私に覆いかぶさる男の口元が、眩暈がしそうなくらい甘い笑みを描く。
「か、改名したらどうですか?」
「何それ?本当に可愛いな」