白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
住む世界って言うか、次元が違う人。
まるで絵本の中のような出逢いだ。

渡された名刺をじっと見ながら、私は無意識に溜息を吐いた。

「家崎、どうした?顔が怖いぞ」

「え?」

掛けられた声に振り返ると、部長が不思議そうな顔で立っていた。

「あ、すみません」

手にしていた名刺を、慌てて手帳の間に挟み込む。
別に部長に知られてくないわけじゃないけれど、なんとなく今は面倒事を増やしたくない。

「君がぼーっとしているのも珍しいな。最近忙しくさせているから、疲れたかい?」

「あーいえ、ちょっと考え事をしていただけです」

「別に構わんよ。家崎君には他の社員の倍以上の働きをしてもらっているから、たまには息抜きもしてもらわないと」

40代後半の相川部長は、もう10年以上この広報部を引っ張っている人だ。役職こそ部長止まりだけれど、その手腕は社内でも一目置かれている。
もちろん私にとっても尊敬する大先輩で、信頼できる上司だ。
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