白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「可愛くないです」
耳が熱くて、これ以上の言葉を受け付けないように塞がってしまいそうだ。
こんな今日を、朝起きた時は想像もしていなかった。
「それにしても、俺の腕の中で芙美が誕生日を迎えるってのは気分が良いな。優越感って言うのかな」
「……え、なんで?」
「何が?」
「私の誕生日、知っていたんですか?」
きっと明日は、人生で最悪な誕生日になると思っていた。
「惚れた女の事くらい調べるよ」
「ど、どうやって?」
「昼間に里香ちゃんから聞いた」
悪戯に笑う椿王子の言葉に、昼間のことを思い出す。
あれから里香に会えず聞けないままだったこと。
「椿社長と里香は以前から面識があるんですか?」
「ああ、高校の時に生徒会交流会で何度か会ったことがあるんだ。まさか芙美と同じ会社に就職していたのは知らなかったけど」
「そうだったんですね」
「里香ちゃんも高校の時から人気あったけど、芙美はそれ以上にモテていたんだろうな」
「その言葉は椿社長にそのままお返しします」
気づけば自然と視線は重なって、同じように頬が緩む。