白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「あの頃に出逢っていても、きっと芙美を目で追っていたよ。それでこうやって手に入れる」
髪に触れる指先が、さっきまで私を乱していたことを思い出して、身体の奥が熱くなる。
「そうですか?後輩なんて相手にする暇なさそう」
廊下ですれ違っても振り返るのは私ばかりで。
そういう時間を想像したら、やっぱりあの日出逢えたことが奇跡のように思えた。
「いや、学年一緒だけど?」
……ん?
「まさかとは思うけど、気づいてなかった?」
思考停止でもしたみたいに、マヌケな顔をした私を、椿社長が目を丸くして見る。だけどたぶん、その表情は確実にずっとわかっていた顔だ。
「生年月日は知っていました!会社のHPを見たので。でも、生まれ年が違うから」
「俺が4月で踏みが3月。ギリギリ同学年って、普通気づくと思ったんだけどな」
「それは、椿社長が大人っぽいから」
それに大きな会社の社長なんてポジションにいたら、余計に自分よりも年上だと思っちゃうよ。
「だいたい、なんで言ってくれなかったんですか?私が勘違いしているの気づいていましたよね?」
顔にそう書いてある!