白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「とにかく今日は無理。俺にも予定がある。どうしても今日したい話なら今言えよ。電話でもいいだろ……ああ、うん……え?」
面倒そうだった口調が、途中で困惑に変わったのは気のせいではないだろう。
だからじっとその顔を見た。
「椿社長?」
焦ったような表情が気になって、小さく声を掛けるけれど、どうやら私の声は聞こえていないらしい。
こんな動揺した椿王子を見るのは初めてで、その珍しい姿をまじまじと見ていると、今度は急に怒り始めた。
「お前ふざけるなよ!?そんな話、聞けるわけないだろ!」
な、何!?
「結婚って、話が早過ぎるだろ!?」
結婚??
なんの話?誰の話??
「親父が許しても、俺は反対だ」
親父って、椿社長のお父さん?
それがいったい、電話の相手である「博世さん」とどう関係あるのだろう。
「今から二人で俺の説得に来る?」
今から?説得?