白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「いつも沢山お仕事頂けて、嬉しいくらいですよ」

「そう?君がうちのエースになるのも時間の問題かな」

「部長は褒め上手ですね。それで用件はなんですか?」

わざわざデスクまで出向くなんて、何かあるのだろう。

「ああ!そうなんだよ!実は今度、娘の誕生日なんだが、最近の若い子の趣味がわからなくて」

「なるほど。お嬢さん、何年生でしたか?」

「春から大学に上がるんだ」

「もうそんな年齢になったんですね!おめでとうございます」

「でも最近は父親離れが激しくてね」

照れたように頭を掻く相川部長は、良い父親の顔だ。

「女の子はそういう年頃ですよ。うーん、香水とかはどうですか?」

「ほう。香水か」

「きっと大学生になるから、大人っぽいものに興味があると思います」

「うんうん。いいね。それで、どこの香水が人気かな?」

「部長、少しはご自分で考えてくださいよ!」

「若者の流行には年々疎くなるんだよ」

そんなことを言っている相川部長だけれど、出版社の女性編集長や広告業界のキャリアウーマンたちから食事の誘いが絶たない人気者だったりする。まあ、本人は超のつく愛妻家なので、おかしな心配はないけれど。
< 16 / 186 >

この作品をシェア

pagetop