白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「は?キスした?まあ、いいよ。だけどそれ以上したら、結婚どころかお前の彼女にすることも許さないからな……え?今は一人じゃないけど」

椿王子がまた私を見る。

「そう。前に話した彼女。今度、お前にも紹介するよ」

そう言った男の目が、優しく細められた。
彼女って、私のことだよね?

「月曜?ちょっと待って……芙美」

「へ?」

突然、椿王子が携帯を耳から離して私に話しかけた。

「月曜の仕事終わり予定ある?」

「えっと、今週はないですけど」

「なら、予定あけといて」

甘く緩む目尻に、また心臓が高鳴り始める。

「どうしてですか?」

「どうしても」

「え、待っ……んっ」

近づいたと思ったら重なった。
影が出来たと思ったら、キスをしていた。
触れるだけの、一瞬のキス。

「……っ」

だって、電話の途中なのに。

「ああ、悪い。月曜大丈夫だから、連れて行くよ」

戸惑う私を置いて、平然と電話を続ける男。
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