白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

本当に、ありえない。

「とりあえず、話しはその時に聞くから。ああ、姫子にはお前から上手く説明しといてよ……ああ、じゃあな」

どうやら電話は終わったらしい。
携帯を置いた椿王子が、私に向き直り、両手で抱きしめる。

「悪い。退屈だった?」

「電話中にああいうことは、どうかと思います」

「気づいてないよ。それに、芙美がして欲しそうな顔で見るから、つい……」

「え、ンンッ」

「したくなった」

離れた唇の隙間で囁いた男が、また私の口を塞ぐ。

昨日よりも甘いキス。
途切れてもまた繰り返されるキス。

「電話、お友達ですか?」

「ああ。幼馴染ってやつ」

「良かったんですか?」

「ん?」

「大事な用があったみたいですけど」

甘いキスを終えた後で聞いてみると、椿王子は思い出したように眉を顰める。

「いいよ。結婚報告なんてふざけた話」

「え、それってその幼馴染さんの、」
< 161 / 186 >

この作品をシェア

pagetop