白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「やっと素直になったな」
「椿社長が、嬉しいことばかり言うから」
「そうか?」
わかっているくせに知らないふりをしながら、近づけた唇を重ね合わせる。
いったいこれまでに、どれだけの女を虜にしてきたのだろう。考えたくないけれど、つい考えてしまう。
深く深く絡み合う濃厚なキスに、悔しいから先に唇を離す。
「朝ですよ?」
窘めるように言えば、
「夜だけで足りると思う?」
大人の色香に染まる瞳で見つめられる。
重なる視線に、心臓がドキドキと震えている。
「でも、朝ごはんとか」
「その格好で言われても説得力に欠けるけど?」
「……え?」
「朝から刺激的で良い眺めだ」
そう言った椿社長の指先が、私の胸元に触れた。
そこで漸く気づいた。
いつの間にか露わになっていた胸元に。
「ひゃっ」
慌てて掛け布団を掴みベッドの中に潜り込むと、男がクスクスと悪戯に笑いながら、私の身体をまた抱き寄せる。
肌と肌が触れ合う感覚に眩暈がしそうだ。