白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

そう。最近では週末を椿社長の部屋で過ごすことが当たり前になっていた私たちだけれど、結婚式場も運営する彼の会社はこの時期忙しく、先週は久しぶりに会えなかったのだ。

「忙しいけど、会いたくなったから来たんだろ?」

本当はすごく嬉しい。
会えたことも、部屋に行くことを前提に話をしてくれていることも。
だけどまだまだ素直になれない私は、つい気遣うことばかり考えてしまう。

「時間は遅くなっても大丈夫ですか?」

「俺は問題ないけど、次の日仕事だからって帰りたがるのはお前だろ」

「それは……でも、今日はもう少し一緒にいたいです」

椿社長はいつも泊まっていいと言ってくれるけれど、やっぱり遠慮してしまう。恋人になれたとは言え、忙しい椿社長の負担にはなりたくないし、それに泊まると帰るタイミングがわからなくなって、また何日も過ごしてしまいそうで……そんなの、困る!
だけど久しぶりに会えた今日くらいは、長い一緒に居たい。

「それなら、近くで店を探すが」

そう言ってハンドルをきった椿社長は、大通りから脇の道へと入っていく。

「何が食べたい?」

「うーん……悩みますね」
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