白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「……え、椿社長?」

まさか、気のせいだろうか。
だってさっきまではお洒落なお店が立ち並ぶ場所に居たはずで、だけど今は、つまりそういう場所に居る。

「今は、どこに向かっているのでしょうか?」

動揺を隠すように笑顔でそう聞けば、運転席の男は「ここでいいか」と、明らかにそういう建物に車を入れる。

どう見てもラブホテル。
それが何をする場所かなんて聞ける歳でもない。

平然とした顔で車を停めて、シートベルトを外す男が何を考えているのか、想像すると鼓動が恥ずかしいほど速くなる。

「あの、椿社長」

「本当に油断出来なくて困る」

「どういう意味ですか?」

戸惑う私の顔を見た男が、その手で髪に触れた。
笑っているように見せて、笑っていない男の綺麗に整った顔を、私は見惚れるように見上げた。

「お仕置き」

そんな私に、悪魔みたいな王子様は、愉しそうにそう告げた。

私、どうなっちゃうの?

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