白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
どれだけ煌びやかに装飾を施しても、椿社長がその場に立つと、このお城の安っぽさを実感せざる得ないから困る。
それでも選んだ部屋は、このラブホテルの中では最上級の部屋だったけど、やっぱり彼には似合わない。

「ンンン、」

部屋に入るなり奪われた唇は、いつもよりもちょっと乱暴。
美しく仕立てられたスーツに思わずしがみつくと、柔らかな皺が生まれる。
キスだけで全身の力が抜けていく。
立っていられない私を満足そうに見つめた後で、椿社長がベッドまで運んでくれた。

「どうしてですか?」

「何が?」

「だってこんな場所、椿社長に似合いません」

丸いベッドに仰向けになる私の身体を跨いで見下ろす椿社長が、スーツのジャケットを脱いでネクタイも外す。
その仕草だけで、身体の奥がきゅんとする。

「俺はてっきり、芙美に誘われたのかと思ったけど……違った?」

口元には意地悪な笑み。

「誘うって、私は何も、」

「俺を嫉妬させて、こういう展開に運ぶための作戦かと」

「な、なんですかそれ!?」

「だから期待に応えてこうしてる」

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