白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「あの男の手助けをするのには抵抗が」
「あー!里香ちゃんの彼氏か」
そう。「企画の野瀬」と言えば、同期である里香が付き合っている男で、なんというか・・・いけすかない奴。
とにかくこの話は保留にしておこう。
「食事を取ってそのまま銀座行って来ます」
鞄を手にして必要なものを入れていくと、部長が「誰かつける?」と聞いてくる。
「一人で充分です」
「頼もしいね~じゃあ頼んだよ、香水」
完全にプライベートのことで頭がいっぱいの相川部長に「いってきます」と伝えて、私は広報フロアを出た。
途中で化粧室に寄ると、メイクの崩れを直して、身なりを整える。胸元まである長い髪は一つに纏め、仕上げに薄いピンクリップ。
ジャケットと揃いのグレーのワンピースは形が綺麗だったので即買いした。上に羽織るロングコートは黒。
地味だ。
でもそれでいい。今日行くのは、去年からうちの会社と契約している女性向けエステ。今月から放送が始まったテレビCMの反響を聞きに行く。
営業が行けばいい話ではあるけれど、契約まで色々と関わらせてもらった企業だと、こうして私も定期的に顔を出す。
もちろんエステなので働いているのは女ばかり。