白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
だからいつもより地味な格好を心掛ける。
TPOは、相手の雰囲気を読むのも大切だ。

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会社を出ると、先に昼食を取ることにした。
雑誌やテレビで紹介されているお洒落なカフェよりも、昔からひっそりと店を構える定食屋の方が好き。
サラリーマンが数人いるだけの店内で、お馴染みの生姜焼き定食に箸を進める。

もちろん、お洒落なカフェも嫌いなわけではない。
新しく出来たと聞けば、真っ先に足を運ぶ。
それはカフェに限ったことではなくて、常に最新の情報を多く持っていたいのだ。
そういう一つ一つの情報が、いつどこで仕事に活かせるかわからないから、アンテナを張っていないと落ち着かない。

「健ちゃん、ごちそうさま」

「おう!仕事頑張れよ!」

代金をカウンターに置いて、忙しそうな厨房に声を掛けると、この店の一人息子が顔を出す。
年齢が近いこともあって、通っているうちに仲良くなった。
そんな彼に「健ちゃんも頑張ってね」と、手を振って店を出た。さあ、仕事だ。
まだ寒い二月の空に向かって大きく伸びをすると、私は目的地に向かい歩き出した。
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