白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
午後4時過ぎ。
仕事を終えて、取引先のエステを出ると、外はだいぶ暗くなってきていた。
予定よりも長引いたな。
CMの反響と、今後の展開の確認に行っただけなのに、新商品の説明を延々と聞く嵌めになったのだ。
急いで百貨店に行かないと。
すっかり疲れてしまった足を渋々動かして、駅の近くにある老舗百貨店に向かう。
もともと、部長に頼まれる前から立ち寄る予定だった。
平日とは言え、銀座の街は多くの人で賑わっている。
その波を抜けて、百貨店の化粧品売り場に辿り着くと、高級ブランドの香水を取りそろえるコーナーで、女性店員に声を掛けた。
10代の女の子に人気の香水を三つ選んでもらうと、サンプルとパンフレットを貰う。
あとは、父親である相川部長が選べばいい。
頼まれ事を終えると、私は急いでエスカレーターに乗り、地下のフロアへと向かう。
腕時計に目をやると、もうすぐ5時になろうとしている。
「やばい。時間ない」
有名菓子店が並ぶ地下フロアに着くと、通路を速足で進み、タイプの違うチョコレートを5つ購入した。
どれもバレンタイン前には長蛇の列が出来る人気店だ。
両手に紙袋を持った私は、鞄の中から手帳を取り出す。