白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
今日はこのまま帰っていい許可を部長にもらっている。
人通りの少ない場所を見つけると、手帳に挟んだ名刺に書かれていた番号に電話を掛けた。
鳴り出したコール音に、緊張が増していく。
本当に、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
昨日の自分を恨めしく思う。
「・・・なんで出ないのよ」
いつまで経っても聞こえてくるのは、変わらないコール音だけで、緊張しながらかけたこの状況が、なんだから虚しくなる。
だから思わず溜息を吐いたその時、耳元で、昨日聞いたばかりの声が響いた。
「だれ?」
「あ、あの、私、昨日のパーティーでお会いした、家崎です」
低くて、どこか甘いその声に馬鹿みたいに動揺した。
なのに相手は「ああ」と一言、興味のなさそうな返事。
“ああ”って何!?
「あの、私、あなたに言われたからこうして」
「悪い。まだ仕事終わってないから」
「え、仕事って・・・え!?」
ツーツーと響く音に、私は唖然とする。
き、切られた・・・?
「嘘でしょう!?」