白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「すみません、電話みたいで」
「気にしなくていいよ」
「ありがとうございます」
先輩の言葉に甘えて席を立った私は、お手洗いのある通路へ向かいながら電話に出た。
足が震えたのは、その番号の相手がすぐにわかったからだ。
「もしもし」
「今どこ?」
「へ?」
「どこに居るか聞いてる」
「え、どこって」
「自分の居場所くらいわかるだろ」
さっき、一方的に電話を切った男が、また偉そうに言う。
「なんで教えないといけないんですか?」
「は?」
「ていうか、今更なんですか?」
「仕事終わったから連絡したんだろ」
「私、もうお会いするつもりありませんから」
「意味のわかんないこと言ってないで、早く答えろ」
まるでこっちが我儘を言っているような言い草に、だんだんとムカついてくる。
なんなの?俺様?それってやっぱり悪魔じゃん!
「勝手に電話切ったのそっちでしょう?」
「だから今かけ直してるだろ」