白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「・・・私、もう別の予定入れたので無理です！」

そう答えると、電話の向こうが静かになる。

「あの、」

「約束守れない女に、俺は優しくしない主義だ」

「え、なに？」

「そっから動くんじゃねーぞ」

「え、ちょっと、って、また切った！？」

一体、なんなの！？
すっきりしない気持ちのまま席に戻ると、グラスが深い赤に染まっていた。

「電話、大丈夫だった？」

「はい、大丈夫です」

ニコリと笑って答えると、先輩がグラスを傾けるから、私も同じように、赤ワインの入ったそれを手にする。

「お疲れ」

「お疲れ様です」

微かに音を鳴らしたグラスを、そっと唇に運んだ。
素敵な雰囲気のお店と美味しい料理、それから先輩との懐かしい思い出話。ワインは次から次へと私の喉を通っていく。
うん。楽しい。
パーティーみたいに堅い空間じゃなくて、こうやって何も考えずに飲むお酒が一番美味しい！

「家崎、顔赤くなってきたね」